「相続」と「不動産」専門の女性税理士によるトータルサポート
成年後見制度とは、判断能力が不十分な方々が不利益を被らないよう支援・保護する制度です。この制度は、従来の禁治産・準禁治産制度の問題点を解決するとともに、本人の残存能力の活用による自己決定権の尊重とノーマライゼーションの理念の調和を基本理念として平成12年4月1日にスタートしました。
具体的には、法律の定めにより家庭裁判所が選任した支援者(法定後見人)は、判断能力が不十分な方の身上監護と財産管理の手助けをします。
平成12年から成年後見制度の運用が開始されて18年が経過しました。旧制度に比べると、利用者は増えましたが、まだまだ認知度も低く、この制度を必要としている方は潜在的にも多く、ますますの利用が望まれます。また、高齢になるにつれ、認知症の割合は増加するとも予想されています。85歳以上では、55%以上の方が認知症になるともいわれ、今は大丈夫であっても、将来は適切な判断ができなくなるかもしれません。
*厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」のデータをもとにしています
*ノーマライゼーション…障害のある者にも通常の生活を送る権利を可能な限り保障することを目的に社会福祉を充実させること
両親や相続人の中に認知症患者がいる場合、相続において何か問題が生じるのでしょうか。
認知症になった場合、認知症になった方は、法律上「意思能力のない人」と扱われる可能性があり、上記のような法律行為はすべて無効で、法律効力をもちません。したがって、認知症になった方の相続対策は事実上できなくなると考えてください。
では、法律効力をもたなくなった場合によって具体的にはどのような問題が生じるのでしょうか。
まず現実問題として、認知症になったため、「財産凍結」になるタイミングで多いのが、銀行からの連絡があります。 ご本人様の銀行での受け答えなどに疑問を感じた銀行員が親族に「認知症が疑われるため成年後見人をつけてください」といった内容の事を連絡してくるのです。
したがって、認知症になった場合の財産凍結で一番問題が多いのは、銀行等での自由なお金の引出ができなくなることです。
(成年後見人による引出は可能、ただし、裁判所へ届出義務あり)
このケースで一番困ることは、認知症の状態が悪化し、いよいよ施設に入居などを考えた際、自宅を売却してその費用に捻出しようとしてもそれができないことにあります。
自分の家をどうして自由に売却できないのか?と思われるかと思いますが、成年後見人が施設に入るため自宅を売却してもいいかを裁判所にお伺いをたてても、家庭裁判所はよほどの理由がない限り(たとえば、貯金が底をついてしまって、入院費用を捻出できなくなったなど)それを認めてくれません。
空き家になって固定資産税を払うのがもったいない、今なら高値で売れるといった理由では家庭裁判所から自宅を売却する許可はもらえないのです。
認知症の配偶者がいるケースで、ご主人または奥様がお亡くなりになったようなケースでは、遺産分割協議に混乱が生じることが考えられます。配偶者が判断能力を喪失しているような状況においては、遺産分割協議は有効なものにはならないからです。このような場合、相続人で裁判所に後見人の申立てをし後見人を立てる必要があります。(このケースの場合、利害関係のある相続人である子供達は、母親ないし父親の後見人になることができず、弁護士などの職業後見人がつくことになります)
このように職業後見人がつく遺産分割協議になった場合どのような問題があるのでしょうか。一番の問題は、家族関係など一切加味しない職業後見人が入った遺産分割協議は、杓子定規的な結論に落ち着くことが多くなることです。通常の遺産分割協議であれば、各相続人の事情を考慮しながら自由な財産分与が可能となりますが、職業後見人が入ったような場合は、民法に定められた相続分に基づいて遺産分割が行われることになります。
相続のみならず、日常生活においても様々な問題が生じることが考えられる認知症ですが、2025年には65歳以上の高齢者の5人 に1人が認知症になるともいわれており、認知症は決して他人事ではありません。認知症になってしまった場合を想定した生前の対策がより一層必要となってきます。
しかし、生前対策といっても、何も特別なことばかりではありません。難しい対策が必要となるケースもありますが、まずは、認知症になって困ることなどを家族で話し合うようなことから始めるだけでも、何も知らずに認知症による問題を抱えてしまう場合とは全く異なってきます。
当事務所では、そのような認知症対策までを考慮した生前対策のコンサルティングに特化しておりますので、お気軽にご相談ください。
相続を多く取り扱う税理士等が、いくら素晴らしい生前の相続対策を立案しても、認知症になってしまうと、せっかくの対策が宙に浮いてしまうことになり かねません。つまり、認知症によるリスクを踏まえた生前対策ができてこそ、 本当の意味での「生前対策」ができ、それこそが今税理士に求められています。
また、日本税理士会においても、現代の高齢社会における問題を重視し以下のような取り組みをしています。
①成年後見人推薦者名簿の登録
税理士が、法定後見制度の成年後見人として、家庭裁判所から選任されるには、次の条件を満たす必要があります。
(日本税理士会では、各都道府県の家庭裁判所に成年後見人等になる税理士の推薦名簿を提出しています。)
1 各税理士会が行っている成年後見人等養成研修を受講して、「履修者名簿」に登録されること
2 日税連が募集している成年後見賠償責任保険に加入していること
3 各税理士会が家庭裁判所に提出している「成年後見人等推薦者名簿」に登録されていること
4 上記のほか、各税理士会が定める条件
当事務所の代表税理士は、上記の条件を満たし、近畿税理士会から大阪家庭裁判所へ提出されている推薦者名簿に登録されております。財産管理のプロの税理士に安心してお任せ下さい。
②近畿税理士会成年後見支援センター相談室の開設
まだまだ認知度は低いのですが、近畿税理士会の「成年後見支援センター相談室」で毎週水曜日に成年後見制度についての一般の方 からのご相談に、電話や面談によってお答えしています。相談時間はだいたい30分程度にはなりますが、もちろん無料です。
当事務所の代表税理士はこの成年後見支援センターの相談員でもありますので、安心して成年後見制度についてご相談下さい。
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